分類すると以下などがある(赤司 1997 第2章).
- 形態的分類(Alfonso Borrero):多様的 multi-(個々の専門分野が平行的,無差別的に存在.レプコ本ではこれを学際研究ではないものと扱う),複数的 pluri-(特定の専門分野が主導し,他はそれに付随),横断的 trans-(数学などの特定の分野が共通の基盤や解析手法をなす.デカルトによる諸学問統一の試みなど),複合的 composite- あるいは 目的論的 teleological-(いずれの分野も主導しないが,共通目的に対しては分野の一部分が協力し合う.社会・政治的諸問題に適用),方法論的 methodological-(特定の専門分野が他の専門分野を支える),補足的 supplemental-(複数の専門分野が境界部分でのみ統合する),同形的 isomorphic- または 統一的 unifying-(第三の専門分野を出現させる)
- 機能的分類:問題解決型,学術振興型,ハイブリッド型
- 発展段階別分類(シェリフ他 1971):multi- → inter- → cross- → trans-
経済学という専門分野についてレプコ(2013 第4章)から抜粋・要約.経済学は市場の相互作用を研究しており,意思決定の合理性を仮定している.対象となる現象は,生産,所得配分,経済的イデオロギー,経済制度など.認識論についてはモダニズム的(おもに実証主義)で,数理的理論・モデルに直接関係のある経験的証拠によって思考が決定されている(Dow 2001).仮定についてはモダニスト的アプローチが主流で(おそらく新古典派を前提として議論している)動機や行動を一般化して記述する一方(利潤最大化・効用最大化といったミクロ的基礎付けがその代表的な例と思われる),ポモの方は動機や行動が文化的・政治的文脈と結びついているゆえに一般化不可能と考える(Cullenberg et al. 2001, Introduction pp. 3ff).方法論について,モダニストは数理モデルや実証分析を行うが,ポモによる単純化批判によって方法論的な分裂を経験し,多元的アプローチが方法論に導入されるようになっているとのこと(Dow 2001, Ibid. 行動経済学的なアプローチを念頭に置いている?).
参考文献
- A・F・レプコ(訳・光藤 他) 『学際研究―プロセスと理論』 九州大学出版会,2013. 付録のコア資料 pp. 413ff を要参照.
- 赤司秀明 『学際研究入門―超情報化時代のキーワード』 コスモトゥーワン,1997.
(追記)NISTEP『科学コミュニティとステークホルダーの関係性を考える』報告書,2015.
- TD的研究や取り組みの評価の難しさ(第二報告書・第6章など).社会とのコミュニケーションはもとより,研究者間で意思疎通を図ることすら容易ではない.